妊娠カレンダー
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妊娠カレンダー
人気ランキング : 4859位
定価 : ¥ 420
販売元 : 文藝春秋
発売日 : 1994-02 |
価格:¥ 420
納期:通常24時間以内に発送 |
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注意! |
決して心温まるマタニティ小説ではありません。
妊娠中の方は読んではいけません(笑)
芥川賞受賞作。
妊娠した姉を見つめる妹の日記形式による作品。
農薬づけのグレープフルーツで作った鍋いっぱいのジャムを食べる姉。
妹は、毎日ジャムを作る…。
日常に潜む淡い悪意が、静かに積もっていく。
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ぜんぜん違う |
「博士の愛した数式」を読み、優しい世界を描く作家なのかと思い、なんとなく手にしてみたこの作品。
まるで違う。どこにも癒しなんてありはしない。かなりヘビーでダークなドロドロとした世界が描かれている。少しも癒されはしなかったが作品自体は楽しめたので、よい意味で予想が外れる形となった。
小川洋子が人の「綺麗な面」だけではなく、「汚い面」まで描けることを知り、彼女の描き出す世界の広さを感じる作品となった。
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「壊れた」人たちの物語 |
収録3作に登場する人物は、それぞれの語り手をのぞき、皆どこか「ヘン」で「壊れて」いる。『妊娠カレンダー』でノイローゼ気味の「姉」、『ドミトリイ』で寮の管理人である両手・左足の無い「老人」、『夕暮れの給食室と雨のプール』で宗教の勧誘を行う父と息子。
3つの物語すべてに共通しているのは、そのような「壊れた」人たちの、さりげない「隙」、言い換えれば「人間らしさ」が垣間見えるということだ。
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上手い恐怖の書き方 |
『妊娠カレンダー』でイメージする妹の悪意は、もしかすると誰にでもあるものかもしれない。特に女は小意地悪いところがあるけど、それに自ずから気付いている人の方が人間くさくて面白い。妹に悪があるとしたら、姉の母性本能の方が冷たい。妹はそんな姉に従順でいながら、どこかで懲らしめてやりたいという思いがあって、それがグレープフルーツ事件を起こさせたのかもしれない。三作のうち『ドミトリイ』が一番読み応えがあった。この二作は読後もいろいろなことを思い起こさせる、とてもエンターテイメント性があるものだった。
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一面 |
妊婦というものはおなかで赤ちゃんをはぐくむ間に勝手に母性本能が発揮されるものと思っていた。自分が妊娠するまでは。
「妊娠カレンダー」は友人が貸してくれた本だが、内容を知らなかった私はこれもまた妊婦の暖かい気持ちとか赤ちゃんを心待ちにする様子が描かれているのだろうと思い込みなかなか読む気になれなかった。
ここにあるのは妊婦雑誌に出てくる前向きな女性とは正反対の女性「姉」である。普段匂わないようなものにさえ疎ましい悪臭を感じるつわり。体は思うように動かず鬱かと思うほどちょっとしたことに落ち込みイラつき、それが過ぎればまた馬鹿らしいほどの食欲。
まわりの気遣いをものともしない上、素直に感謝する余裕もない。自分でもどうしたいのかわからない。おなかは見る間に膨れ、いまさらなにをどうしたって生むことの痛みと母親になることから逃れられない怖さ。
このなかで「妹」が淡々とつくるジャムには姉を変えてしまう妊娠への無意識の抵抗に思える。
もしかしたら妊婦にも二種類のタイプがあるのかもしれない。
人事ではない、自分のおなかに生命が宿ったとき、この姉に共感する人は私だけではないと思う。自分の姉に赤ちゃんができたときは、楽しみで可愛くて幸せな気持ちにしてくれるまさに天使のような存在だった。特に子供好きなわけではなかった私でもそうなのだ。我が子ならきっと手放しで嬉しいものだと思っていた。それが我が子であるだけでどうしてこんなにおそろしいのだろう。作品には産まれてからの姉と赤ちゃんの様子は書かれていない。私のような人間には妊婦にはこんな一面もあるのだと認めたもらった気がする作品だった。